2017.10.21(土)
テーマ:レトロ & アンティーク 〜 時代感を表現する 〜
レトロやアンティークの言葉からのイメージを具体的にライト、衣装、被写体の表情等をイメージの統一したアートディレクションをして時代感を表現していく。
画作りのポイント
タングステンの環境光を上手く活用し、ストロボ光とのバランスでベージュ〜焦げ茶までのベース色をコントロールしながら、メイン光で作品の方向性を定める。
1.モデル選び
設定する時代を伝えると、時代感をイメージでき、通り一遍の自分のワンパタン表現ではなく、具体的に表情、視線、ポーズを求めるイメージに基づいてコントロールして表現できるモデル。しっとりと落ち着き感のあるモデル。
2.スタイリング
“レトロ” は比較的モダンな時代で、具体的には1950年代、60年代、戦後の昭和時代のモダンさをイメージ。
“アンティーク” は写真機があるか無いかの絵画時代の100年以上前の落着いた雰囲気のもの。
3.レンズと絞り
明るめのレンズで開放又は開放に近く人の視線に近い浅めの被写界深度の設定。
4.ライトシェーピングツールとライティング
“レトロ” は、環境光であるスタジオのタングステン光とをミックスして、ベージュベースを作る事のできるビューティーデッシュや大きめのソフトボックス等。タングステンを消した時に白背景が薄いグレーになる様にヒストグラムを確認。そこへタングステンを乗せて行くイメージ。
“アンティーク” は、スポット系のメインライトに、必要や演出に応じてスポット系のサブライトを髪や背景等に足して行く。タングステンを消した状態では背景は濃いグレーにして、タングステンによってダークブラウンに調光していくイメージ。
5.ポジショニング
ストロボ〜モデルの距離をAとし、モデル〜背景の距離をBとすると、淡い色調に染めたい場合は、AB、ビビッドな色調に染めたい場合はA<B。求める画とその度合いの強さの問題。
6.表情とポーズ
環境光のタングステンを感じさせる為には、被写体と背景にスペースを作り、ストロボとの距離でコントラストをコントロールする。背景に被写体の影を入れたいか、入れたく無いか、入れる場合はメインライトによって影の大きさや被写体との位置をコントロールできるポジションにングを作る。
7.RAW現像
基本的に“レトロ” も “アンティーク” も寂れた風合いを演出する為に、彩度は低め、コントラストは高くしつつもディテールを表現できる様に暗部と明部をコントロール。低ISO撮影の場合は銀塩っぽく素粒子感を多少入れてみてもいい。
“レトロ” は色あせた写真の様に浅く薄めの雰囲気、“アンティーク” は絵具が乗った様などっしりと濃いめの雰囲気をDehaze (かすみの除去) 等のパラメータで微妙に表現するといい。
ただ、どの作品にも共通する事としては、ひとつの作品では全く同じ風合いにしなければ作品のバリューは落ちるので、サブライト等が変っても同じ風合い/色調に仕上げる事が重要。
撮影後にRAW現像であれこれパラメーターを動かしイメージ作りをするのではなく、撮影前にしっかりとターゲットイメージを持ち、そのイメージに近づけ完成するためにRAW現像を行う。